20年前のテラミス、そして現在。

「ピラティスのインストラクターなんです。」
「え?テラミス? 何それ?」
「あ~ なんかヨガみたいなやつでしょ?」

私、クラシカルピラティスインストラクターJunが2002年にピラティスを始めた頃は、いつもこんな会話から始まったものです。

あれから十数年。ピラティスの認知度も上がり、インストラクターも増え、スタジオも増え続けていますが、いまだに「ピラティスって何がいいの?!」という問いを投げかけられます。

私も18年前は同じように「なんだそれ?」から始まったピラティスも、出会ってもうすぐ20年。あっちを学び、こっちに学びを広げる度に、ピラティスの理解がま一つ、また一つと深まって、もちろんピラティスの指導に熱が入ることになっていき、そして現在もその繰り返しです。

そんな私なりの「ピラティスってなに?」を、自分の言葉で伝えて行きたいと思います。

さて。

一度やってみた人なら分かるかと思いますが、ピラティスを実際に体験すると「インストラクターの指示する事がいまいちピンとこない」「言っている事はもちろんわかるけれど、自分の身体で言われた通りに出来ているのかが不安。」という、いまひとつはっきりしない感覚を覚えることが多いかと思います。

そこで、具体的な動きを云々話す前に、ピラティスをする上でまず、一番大切なことは何か?についてから話を始めたいと思います。

身体全体は全ての部位がそれぞれ補い合い、生命が維持されることを優先しながら補いあっているという大前提があります。ここをやはり一番に踏まえておく必要があるポイントです。

現在、健康に関する情報は山ほどあって、それらの中には相反することを言っている場合も多く、混乱することもありますよね。そういう場合は大抵、身体をある一つの方向からしか見ていない場合が多いんじゃないかなと思ってます。

ピラティスの考案者、ジョセフ・ピラティスは動物や生き物の動きをよく観察し、そこから多くを学んだようですが、自然の本能というものを知るためには、人間以外の動物たちの動きは大変貴重な情報源だと納得します。
ピラティス氏の書いた書物を読むと、彼が単に運動だけを説いていたわけではないことに気づきます。彼は現代人の生き方そのものに警鐘を鳴らしていました。
子育てにも言及し、それは、本来人間がどう生きるべきかを知っているようでした。そんな彼が考案したエクサイズは、人間の命の仕組みを彼なりに理解し、43年間かけて形にしたものだと解釈しています。

インストラクターという立場の私は、目の前の人に対してエクササイズを選び動いてもらう際に大切にしていること。

それは、栄養療法で基本概念となっている「必要な栄養素を摂り入れて、後は身体に任せる」と同様に、身体にとって「必要なムーブメントをさせて、後は身体に任せる」ということ。

これはピラティス以外のどんな運動療法やセラピーをする上でも大切な事だと考えています。

どういうことかを食べることの方から説明すると、、

お肌のためにコラーゲンを摂る方がいますが、コラーゲンを口から摂取しても体内で分解されてアミノ酸に変わり、それが再びコラーゲンになるかどうかはわからないという事実があります。取り入れた栄養素が、生体内でどんな反応を起こすか、またその栄養素をどこに使うかは、身体がその時の身体の状態を把握して調整している。

私たちはまだ、体内で起こっている反応を全て網羅することはできず、身体の中で栄養がどう分解され、どう分配されるのかは、未だ人智が完璧に扱いきれるものではないのです。ところが、全ての臓器はあらかじめ宿っている知性があり、必要なものは必要なところに運ばれて吸収されていくのです。そして必要なものが体内に入ってこない時にはまた、化学物質を出したり、神経系の調整をしたりして維持に必要なことがなされています。最近では、神経伝達物質の理解も深まり、身体に指令を出しているのは脳だけでなく、身体の各部位全てが細胞のレベルで考えながら連携をとって生命維持という目的のために休むことなく働いていることが証明されています。

手技をつかった身体への様々なアプローチ、ムーブメントなどもやはり同じではないかと思うのです。こうすれば、こうなるだろうと仮説をたてて、処方し、反応を見て判断する。
これをエクササイズを入れたら、必ずこう返ってくる、という方程式は全員に当てはめることは出来ない。
もちろん、経験を積めばそれだけ多くのケースやパターンも見えてくるでしょう。でも、絶対はない。それを頭の片隅に必ず置いておく必要があると思うのです。

そんな前提を踏まえた上で、ピラティスのムーブメントに取り組んでいく時、限られた時間の中で何をまずしようか、どこから始めようか、どの動きは必ず必要だろう、最後はやはりこれを忘れてはいけないな、など思いを馳せることができるのです。

たとえ難病を抱え、散歩すら困難な人であっても、ピラティス氏の考案した様々な器具(いわゆるマシン)を用いていけば、生きていく上でどうしても維持していきたい力を”つけ続ける”ムーブメントをすることができるので、「セッションの後は動いて気持ちがよかった!」という声に繋がるんだろうなと思います。

どう身体が反応して、よりスッキリとし軽くなっていったのかを全ては説明できないけれど、スポーツジムに置いてある部位別に強化をするマシーンを、自分でどれをするか選び、プログラムし、トレーニングをした後の感じとは別物だと感じます。
もともと私はジムトレーナーからスタートし、ジムでマシーンの使い方を教えつつ、自らのトレーニングもしていた時期がありますから、その違いも実感しています。

ピラティスで得られる爽快感の理由は、内臓への配慮、疲労する手前で次のエクササイズに移るという配慮、主要な骨格筋を部位別に強化するのでなく、小さな忘れられがちな筋肉群や、筋膜、また深層にある組織を血管や神経も含んでいる組織として全てを取り扱おうとしているからではないかと思います。

人が生きていく上で、動き続けていく上で必要な身体の動かし方を知り、身につけて健康でいきいきとした毎日を送るツールとなるピラティス。

これは、ピラティスって何?のこたえの一つとして。

経験したことのあるみなさん、どうでしょうか。

20年前のようにテラミス、とは言われなくなりましたが、ティラピス、とはまだ言われます。「ティ」「ピ」の発語って難しいのかしら。