こんにちは、ヨガインストラクター/書店員の葉です。

今回紹介する本も先月に続き短編集なのですが、フィクションとはいえ痛々しい描写やかなりきついエピソードが多く、紹介そのものを迷ったのですが……これもまた私の一部ではあるなと思い直して書いてみることにしました。ロクサーヌ・ゲイの短編小説集『むずかしい女たち』です。 私の頭の中身はアナーキストでありフェミニストという感じです。 こう書くと過激っぽいのかもしれませんが、普段クラスや仕事、日常生活で暴れまわったり喧嘩を売ったりしてはいないので安心してもらえると有り難いです。ものを考える時のベースがわりとそう、という意味です。 アナキズムは無政府な混乱状態を思い浮かべがちですが、そういうことではないです。かなりざっくり説明すると、中央集権的な政府や利益の追求のみを良しとする資本主義を代表とする強い権力が(強い権力、今の世の中だと男性中心の社会で偉い立場にいる人達、おじさん、おじいさん、その中で上手く動けた女性を主に指すと思いますが…)、周りから一方的にいろいろ吸い取っていく構造、それに頼った社会の仕組みを解体し、人の繋がりによって個人の自由と平等を求めつつ、地域を動かしていこうという考えです。実はわりと牧歌的な考えです。ただし、今の世の中の作りにあまり不満が無い場合、それをひっくり返したいという考えではあるので過激と言えるのかもしれません。 そしてそう考える過程で、さっきも触れた、男性を中心に置いて構成されている今の社会も作り直したいよなぁ…となると、男女同権を掲げるフェミニズムにも触れないわけにはいかなくなります。ネットでこのnoteを読んでいるということは、#MeTooを知らない方はほぼいないかと思います。海外でスタートした運動ですが、ネットのおかげもあって、日本にもフェミニズムの新しい流れが少し入ってきたのかな?という感じがします。 こういう動きに対して「日本は日本だ。これが日本の伝統社会だ。」という言い人たちもいますが、えーと、だったらその日本を変えればいいいじゃん?というのが私の考えです。自分をめんどくさい人間だなとは思いますが、今更どうにもならなりません。そして、そんな私が目にした瞬間にピンときたタイトル、それがロクサーヌ・ゲイの『むずかしい女たち』です。私の場合はむしろ「めんどくさい奴」なのですが。 収められたストーリーはDVや幼児への性的虐待、レイプなど、シリアスな主題のものが多く、身近と思うかどうかはその人次第だとは思いますが、私と同じ歳の著者が描いた物語の中に詰めこまれた、自分ひとりの力ではもうどうにもできないという「感覚」は、私にとっても馴染みのあるものでした。女に生まれたので、まともな社会参加を最初から諦めていたようなところが私にはあったので。この仕組みで頑張ってもあの辺りで止まるんだよねと思ったら、目線も姿勢も斜めになるしかなく、「だからって、私には特にどうにもできないよな」と思っていました。 誰にでもおすすめですというタイプの作品では全くないのですが、ぐっさりと刺さるものが好きな方は興味があればぜひ。同じ著者のものだと、『バッド・フェミニスト』はポップカルチャーを織り交ぜながら書かれたエッセイ集なので、こちらの方は楽しく読めるかもしれません。 という訳で、心身の両方の修養であるヨガですが、このように頭の中身が全然シャンティではない私なので、どこまでいっても、それこそ「バッド・ヨガティーチャー」なままなのかもしれません。ヨガ的には来世があると考えることもできますが、それはあまりにも遠く、皆さんにまた会えるとも限らないですし… ------ オタマは本を乗せた程度では怒りも起きもしない、飼い主よりシャンティなタイプに育ちました。]]>